AMBELL KEY PIECE 25FW Talk Session
AMBELL KEY PIECE 25FW Talk Session

direction:wakikawa
edit&photo:izumi

昨年からスタートしたbalconeとAMBELLのコラボレーション企画である「AMBELL KEY PIECE」

今回はAMBELLデザイナーである門野氏と本企画の担当者であるbalconeアシスタントバイヤー脇川に25FWシーズンのアイテムに付いて語ってもらいます。

wool saxony zip blouson

アシスタントバイヤー脇川(以下、脇川):まずはこちらのブルゾン、もともとG9って市場にあるものは少し“土っぽい”雰囲気が強かったりしますよね。
そこで今回は素材やディテールも含めて“クリーンなブルゾン”として成立するように作ってもらいました。

AMBELL デザイナー 門野氏(以下、門野氏):こういったブルゾンは根強い人気がありつつ、より綺麗めなものを欲している方も多いのでは?という話し合いがありましたよね。

脇川:その流れを経て出来上がったこちら、僕が一番いいなと思ったのが、背中のパターンの切り替えなんです。とても馴染みが良いというか、こういったところに特徴が出ていますよね。


門野氏:そうですね。
今回一番こだわったポイントは、“立体裁断で全部パターンを組んだ”というところなんです。

ぱっと見は平面的に見えるんですけど、実際は着た時に身体に馴染むように立体的に作っているので、フィット感と高揚感が得られるブルゾンになっています。


門野氏:AMBELLのKEY PIECEは着る人の個性が引き立つ・スタイルを選ばない・いろんなシーンで活躍できる、そういう“ワードローブになれる服”を目指していて、それを意識してシルエット、ディテールを作っています。

ポケットの裏のパイピング処理や、閂止めは通常一回転のところを二回転で縫って強度を高めているなど、表には見えない部分に工夫を入れることで、長く愛用してもらえるように。

デザインを過剰にせず、着る人の余白が活きるように仕上げています。

脇川:確かにネームのデザインとも繋がっていますよね。

門野氏:そうなんです。
ネームのデザインと洋服の思想がリンクしていて、“着る人の個性が立つように”余白を意識した作りになっています。

ちなみにこの生地、昔ながらの製法で作られているので見え方は凄く素敵なのですが、ファクトリー泣かせで縫製するのが難しかったみたいです。
程よく膨らみがあって着用していくとより風合いが良くなってくると思います。

wool saxony 1pleat tapered pants

脇川:続いてはパンツ、既にお客様にもご好評頂いています。
緩やかなテーパードシルエットを採用していて、インプリーツというのも良いですよね。

門野氏: インプリーツにしている理由はシルエットを綺麗に見せるためですね。
アウトプリーツよりもラインがまっすぐ流れるようなパターンを起こしている感じです。

脇川:確かに。
このパターンのインプリーツだと落ち着いて見えるというか・・・より“ドレスパンツに近い”雰囲気になりますね。


門野氏:そうですね。
一方でウエストはシャーリングにしているのでフォーマル過ぎず、カジュアル過ぎず、ちょうどいいバランスになっています。

脇川:そのミックス感が良いですね。


門野氏:はい、そこが今回意識した部分です。
「綺麗だけど、気張らずラクに穿ける」というところを。

脇川: シンプルですけど、シルエットの美しさで勝負できる一本です。

門野氏:ちなみに細かなところだと、ポケットの部分は消耗しやすいので強度を上げるためにミシンで閂止めしています。

脇川:長く穿いてもらいたいので、こういったディテール面もしっかり拘っている感じですね。

cotton typewriter shirt

脇川:こちらのシャツ、シルエットのゆとり具合が絶妙ですよね。
細すぎず、でもルーズ過ぎず。

門野氏:まさにそこがこだわりです。
KEY PIECEが考える“普遍的なシャツ” をミニマルなデザインと、バランスの取れたゆとりで作るということを意識しました。

脇川:本当に “長く着られるシャツ” を狙った感じですね。


門野氏:ディテールを削ぎ落として、シルエットと丈感の完成度をとにかく高めました。

脇川:羽織り使いもいけますよね?ボタンを開けて、ライトアウターっぽく。

門野氏:そうですね。色々なシーンにマッチできるように意識しました。なので着こなしの幅は広いですね。

シルエットにゆとりを入れているので、Tシャツやハイゲージニットの上からでも綺麗に着られます。
“シャツだけどアウターっぽくも使える” という提案ですね。

襟の硬さもテストを繰り返して、フォーマル過ぎずカジュアル過ぎずのバランスを狙っています。

脇川:良いバランスですよね。生地も通年で着用出来るタイプ。

門野氏:生地の糸には80番手双糸を使っています。
厚すぎず、薄すぎずの生地ですね。時間をかけてゆっくりと織り上げることで表面に毛羽が出来ないようにしています。

脇川:シルケット加工をしているわけではないんですね。

門野氏:そうですね、ナチュラルに織り方でクリーンさを表現しています。

wool cotton skipper shirt

脇川:続いてはスキッパーです。

門野氏:スキッパーって“カジュアルな印象”が出やすいんですけど、今回はそのイメージをできるだけ抑えて、“大人っぽく上品に着られるスキッパー” を意識しました。


脇川:確かに、これは上品。
ネックの開きも絶妙ですよね、やりすぎてない。

門野氏:開きの深さとカーブの角度を結構調整していて、顔まわりがすっきり見えるようにしています。
ラフさはあるけど、だらしなくならないように。


脇川:素材の落ち感もいいですね。
ちょっととろみがあって、動いたときに綺麗です。

門野氏:ウールが表面にでるように織られた生地ですね。
経糸をコットンにすることで肌あたりも良くしています。


門野氏:素材の良さもあって、“生地が勝手に綺麗に見せてくれる” ところもあります。
スラックスにも合うし、デニムに合わせても大人っぽい。

脇川:これ一枚で主役になる感じですね。

門野氏:そうですね。
カットソーよりきちんと見えるけど衿付きシャツよりは軽さがあって、すごく使いやすいと思います。

wool twill shirt blouson

脇川:次はシャツブルゾンいきましょうか。

門野氏:はい。
“シャツ”なんですけど、ブルゾンとして使えるように作っています。

脇川:確かに、見た目はシャツなんですけど、着たときの雰囲気はライトアウターに近いですね。


門野氏:そうなんです。
シャツの軽さは残しつつ、一枚羽織るだけでさまになるように。

素材はウールの中でもハリコシのあるもので、油分を抜いたドライタッチなものを採用しています。また、表面はクリア仕上げをしていてより綺麗な表情になっているのもポイントですね。

脇川:なるほど。
個人的にポケットがすごく好きです。ミニマルなんですが、ちゃんと存在感がありますよね。

門野氏:ありがとうございます。
ポケットの角度とか大きさは試行錯誤していて、“シャツの中に自然に馴染むけど、ブルゾンとしての機能もある”というところを狙いました。


脇川:前を開けても閉めてもバランスが良いですよね。
前開けだとアウターっぽく、閉じると上品なシャツとしてまとまる。

門野氏:その“どっちでも様になる”というところは徹底的にやりました。
身幅と丈感のバランスを何度も見直して、インナーを選ばないようにしています。

脇川: “軽く羽織れるちょうどいいトップス”として活躍すると思います。

cotton mock neck sweat

脇川:いわゆるベタなスウェットとはちょっと違う雰囲気ですよね。

門野氏: そうですね。
ヴィンテージスウェットをベースに考えつつ、モダンでクリーンに着用出来るようにバランス調整して作り込みました。

脇川: 首周りもやや低めのモックネックにすることで、クルーよりも抜け感が出にくくなっている感じです。
スラックスやジャケットと合わせても違和感ないですね。

門野氏:そうなんです。
肩の落ち具合も絶妙に調整していて、程よくリラックスしていますがシルエットがダレないようにしています。
また、裾リブのテンションは敢えて緩くしてます。シャツとレイヤードした際に綺麗に決まるように。


脇川:この辺りは結構話し合いましたよね。
あと、厚みがちょうどいいですよね。厚すぎず、薄すぎず。

門野氏:春と秋、そして冬のインナーとしても使えるように通年の中間をとる厚みにしています。
一枚で様になるし、重ね着してもモタつかない厚さです。
ちなみに素材は古い織機で編まれた裏毛生地を採用しています。
また、フラットシーマという肌面にあたりがでない縫製で仕上げています、着用時にごろつきを感じさせないのもポイントですね。

脇川:裏起毛ではないので夏以外は着用できそうですね。

門野氏:そこもポイントですね。


脇川:一着あるとほんとに便利なやつですね。

門野氏:そう思います。
シンプルなんですけど、“シンプルだからこそ違いがわかりやすく出る”というアイテムですね。

alpaca nylon crew neck knit

脇川:では最後、ニットお願いします。
かなり良い出来ですよね、軽やかさと温かみをしっかり感じられます。

門野氏:ありがとうございます。
シルエットはベーシック、表情は特徴的な仕上がりになっていると思います。
この見栄えを表現する為に、編み地の仕上げを4回ぐらいやり直していますね。

脇川:ニットは結構難しい感じですか。

門野氏:ニット作りが難しいということではなく、今回は素材の仕上げが難しかったです。
ペルーのスーパーファインアルパカを使用していまして、独特のシャリ感を表現する為にあまり毛羽立ちしすぎないようにしています。
シャギー感を出しすぎるとニットの存在感が大きくなってしまいます、そこはKEY PIECEとして避けたかったんですよね。
デリケートな素材なのでこの表情を出すのに苦労した、という感じです。

脇川:なるほど。

門野氏:今回のニットはシンプルなんですけど、とにかく“着心地と上品さ”を念頭に置いています。

脇川:カジュアルニットですが上品さを備えている感じですよね。

門野氏:そうなんです。
ハイゲージなので、肌当たりがすごく優しいんですよね。
光沢が自然に出るのでカットソーよりも品良く見えます。

脇川:確かに。
アルパカを採用したことで存在感も出ましたし、一枚着としてもこなれ感がありますよね。ジャケットの中にも入れやすそうです。

門野氏:まさにそこを狙いました。
ジャケットでも、ブルゾンでも相性がいいですよね。
“何にでも馴染むニット” を目指して設計しました。


脇川:あと、首元のテンションがすごく良いですよね。
詰まりすぎてないけど、だらっともしないバランス。

門野氏:ネックラインはかなり調節しました。
首まわりが綺麗に見えるようにカーブを細かく変えていて、着たときに上半身がすっきり見えるようにしています。

脇川:シルエットも細すぎず、緩すぎず、絶妙です。

門野氏:そう思います。
クセがないのでスタイルを選ばないし、サイズアップして着用しても綺麗です。
ミニマルだけど“ちゃんと気の利いたニット”になっています。


脇川:一枚で春秋もいけるし、冬はインナーとしてずっと使えるやつですね。

門野氏:そうですね、色々なスタイルで活躍してくれると思います。



balcone

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