髙階手帖

こんにちは。 gujiの髙階です。
いつもbalconeのスタイルをしているからか、あまりドレスのイメージも無いみたいなので、セグメント無く洋服に興味があることをもっと伝えて行こうと改めて思いました。。
というわけで、今回はguji salottoで展開している、Alfonso Sirica(アルフォンソ シリカ)。
こちらもとても個人的に思い入れのあるブランドです。


salottoカテゴリーでのジャケット展開ブランドは、BELVEST、Gianfranco Bommezzadri、RING JACKET。
数シーズン前、これらに匹敵する、またこれらの感じとは違う空気を感じるクラシックなジャケットブランドを探しておりました。
様々なイタリアのクラシックブランドを見に行き、試着し、接客で細かな説明を受けて来ました。


どのブランドも甲乙つけ難く、とても素晴らしい物ばかりです。
僕が一番大切にしたことは、着用した時にジャケットが乗る感覚では無く、身体に自然と吸い込まれていく感覚があるか。

そして辿り着いたブランドがこちらでした。
それを、個人の感覚を踏まえて紐解いていきたいと思います。


まずは、言わずもがななサルトリア仕立ての製法ですよね。
このブランドは、ほぼハンドメイドと言っても過言ではありません。

遡ると、、、
ウィメンズの服を友人たちに仕立てるのが趣味だった母親が日々深夜まで針を握っているのをずっと見て育ったアルフォンソは、7歳のときには当たり前のようにミシンで遊んでいたそうです。
10歳のときには祖父が着ていたスーツを分解して従兄に仕立て直してあげたそうで、その仕事の完成度があまりに高く、母を大いに驚かせたという話があります。


このブランドの形態は今なお完全なサルトリアであり、地縫いの箇所以外は全てハンド製法。
実際にジャケットを見ると、その一針一針に気持ちを込め時間をかけ、とにかく丁寧に縫っているのが窺えます。

ジャケットは一枚仕立ての後身頃から成り、(背中心を割っておらず、背中心を折りたたんでいる)特に大きい格子の場合、柄がズレるのを防ぐ為にAlfonso氏が生み出したアイデアです。

また、スーツの組下のパンツは外注して作成するところが殆どですが、「全ては自分の目の届く場所で」の信念の基、パンツも全工程自社工房で生産しています。


ブランドのコンセプトは「採寸・技術に基づいた丁寧な服」であり、その正確な縫製がエレガントであり軽やかで艶がある服を作り出しています。

ボタンホールはハンドで仕上げ、身体の癖に合わせたハンドで裁断した一枚襟、肩付けはナポリ臭く成り過ぎない程度のマニカ カミーチャ仕立て。
裏地の袖付けもハンドで仕上げており、可動域も確保された作りになっています。

これら彼らがしている仕事の中身から見れば、スーツでこのぐらいの価格というのは破格と言って良いでしょう。


見たら一目で分かる丁寧さが他のブランドとは一線を画していますが、特に重要視してる箇所は裁断だと言います。

「全ての服は型紙と裁断で決まる」

時間をかけ丁寧に一枚一枚を裁断をし、その後芯据えの過程でも再び型紙を置き「ズレ」を無くします。
息子が物作りに参画することで、ナポリのサルトでは極めて稀な型紙にCADも導入します。
これは、ナポリには星の数ほどサルトリアがありますが、ここだけの技術だといいます。

ですので、これだけハンド工程が多いにも関わらず、CAD導入のおかげで、個体差が驚くほど少なく、その完成度は相当な物です。


ここまでの作りだからこそ、着用した際に乗るのではなく、”吸い付く、まとわりつく”という表現があっているのだと思います。 僕が探していた感覚はそこでした。 自分の物も別注仕様でオーダーしましたが、どの形になってもその感覚はズレることがありません。


昨今のトレンドは大きく変化しており、海外のブランド以上に日本の精度の高いブランドがどんどん出現し、お客様の需要も大きく変化しているかと思います。

ですが、日本の作り手の方達は、カジュアルやドレスのセグメントは無く、
“良い物を追求し、今の気分で着たい”を体現しているように見えます。

ですので、イタリアやイギリスなど海外の、歴史に裏打ちされた物づくりの素晴らしさをしっかり商品に取り入れて行っていますし、寧ろ、その素晴らしさに憧れがあるからこそ、習った作りになっています。

イタリアのナポリの伝統的なシャツやジャケットの技術は世界に誇る技術です。
また、それらは時代を超えても色褪せることはありません。

とは言え、日本の市況や日本の体型合うモデルの修正は必要になります。
イタリアの中でも職人気質の強いナポリ人の職人にそれを伝えていくことは一筋縄ではいかないはずです。
そこは、日本の営業の方の努力と熱い想いをいかに伝えられるか。
ハートフルなナポリ人にはやはり、ハートで戦うのが正攻法でだそうです。
ロジカルな議論になりすぎても上手くいかないのが、逆に面白いところなのかもしれませんと仰っていました。

そこまでして出来上がった商品を、小売側は、それを如何に現代に合わせたスタイルイメージでお客様にご提案できるかが僕達の使命にも感じています。

それを加味して、スタイリングを組んでみました。


テーマはやはり、「新しいクラシックスタイル」。

タイドアップスタイルも新しい着こなしを追求していくべきです。
また、今のネクタイ群は、ビジネスだけを意識した柄のセレクトでは無く、ファッションとしての色柄やモデルを選んでいます。


ネクタイは必ずレディースのファッショントレンドをコレクションに取り入れて行く、コットンシルク素材のAtto Vannucci、
パンツはgujiの別注であり、スリムデザインよりも足長に見えるIGARASHI TROUSERSのストレートパンツ、
シャツは刷毛目素材のライトベージュのセミワイドカラーのGUY ROVER、
シューズはコインローファーでありながらモダンなデザインのF.LLI Giacometti。

エレガントな合わせではありますが、全体的にタイトシルエットでそれを見せるのではなく、どこまでもナチュラルな雰囲気にしているところが新しく見せたいポイントです。


例えば、パンツはストレートシルエットを活かして、ハーフクッションになるようなレングスに取る。
スリムよりも自然な足の長さが強調され、より美脚に見せています。

シャツもネクタイの色に合わせるようにライトベージュ色を採用。
洗練された白で合わせるよりもネクタイが固く見えず、主張を和らげます。


ネクタイはコットンシルクの素材で、シルクの艶とコットンの柔かさが融合し、配色により織りを変えている為、見た目の固さは無く、まるでサラッとスカーフを巻いているかのようなネクタイを採用。

そこに、身体に自然と吸い付くAlfonso Siricaのジャケットを着せることで、矯正した全体のシルエットではなく、元々ある身体の自然な美を感じる見栄えになるかと思います。

何処までも、物での主張を強めるのでは無く、良い物を自然と着ることがこれからのクラシックスタイルかと思います。



「サルトは常にクリエイティブでなければなりません。
何十年ものキャリアがあっても仕事からは日々学びがあり、その中で我々は常に進化していかなければなりません。
そして我々はサルトリア ナポレターナという偉大な文化の”担い手”でもあります。
常にベストを尽くし、お客様に文化レベルの喜びを与えるのが我々の仕事なのです」

これは、Alfonso氏の言葉です。

要らないプライドは持ち合わせておらず、常に謙虚で勉強熱心で真面目で、時にはモノづくりに対して激情型でもあり、彼が作ったスーツ、ジャケットは全て彼の子供のようなもの。
その全ての彼の想いがAlfonso Siricaの商品に表れているんだと、営業の方は言います。

そして、今後のクラシックの継承は、物だけでなく着合わせも新しい形に変え発展させて行くのは必須です。
そこは日本人の僕達が”担い手”だと思っています。

髙階手帖

Archive

商品カテゴリ

ITEM

ジャケット

スーツ

ジレ

アウター

シャツ

カットソー

ニット

ボトム

バッグ

シューズ

タイ

チーフ

ストール

ALL LIST