JACOB COHEN STYLING vol.1 autumn
styling&text:hatanaka
model:miyamoto
edit&photo:izumi
support:nakamura、aoki
イタリアンプレミアムデニムの先駆けとして世に認知されたブランドの代表格であるヤコブコーエン。
そんなヤコブコーエン、初めて私が目にしたのは某大手セレクトショップだったかと記憶しております。
当時からすごく華やかなカラーリングのレザーパッチとステッチワークは際立った個性として輝いており、初見の私はおおいに驚かされました。
なによりも周囲のブランドよりも遥かに高いそのお値段!にも驚かされたわけですが、それでもキラキラと輝いて見えたその一本にイタリアンファッションの魅力がたっぷりと表現されていた事が印象に残っています。
昨今の経済状況によりその価格は当時よりもさら〜にプレミアムになっているわけですが・・・
「ジャケットに合わせるデニム??』 「テーラリングデニムって??」とかなりのインパクトを持って世に登場したヤコブコーエン。
そのデビューから幾年月・・・
その後、様々なブランドから高いデザイン製やイタリアらしい美脚シルエットの素晴らしさを謳ったデニムが世に現れたのは周知の通り。
今思えば ヤコブコーエンはそのムーブメントのまさにパイオニアだったような気がします。
と、長い前置きはさておき・・・ そんなヤコブコーエン、実は若い世代の方からするとどんなブランドなのか私が思っているほど知られていないのでは?? なんて思った次第でして。
まもなく50代に突入しようかという私と 若い方とはいろんな意味でのギャップがあるわけですから それも考えてみれば当たり前の話ですよね。
なにより当サイトで ヤコブコーエンを取り上げるコンテンツも若干?久しぶりだったりもしますので・・・
やっぱりカジュアルなデイリーウェアだったデニムのイメージを格上げしたブランドなわけですから、どうスタイリングすべきなのか?みたいなところからお話しするのがこのブランドを知っていただく近道では?
と思い テーマ別のコーディネイトを見ていただくことにしました。
今更?ですが結局それがキモだったりしますよね??
イタリアらしいシルエットやカラーリングセンスみたいなところがこのブランドを語るうえでも大事な要素だと思っていますので、そこを多分に意識したスタイルにしております。
グジでお取り扱いしているブランドを散りばめながら、極力イタリアブランドを用いながら、みたいなところがポイントです。
それでは早速行ってみましょう!
STYLE1
まずはレザーアイテムです。
私にとってのイタリアのレザーブルゾンのイメージはなんといってもヴァルスターです。
若かりし頃訪れたイタリア。そこでまさに猫も杓子も状態でタバコスエードのヴァルスターを目にしました。
着まくってアジが出まくったスエードを 枯れたオジ様が汚れなんて全く気にも留めずに着てましたね。
おおいに触発されて私もリナシェンテでしらないブランドのヴァルスタータイプのブルゾンを自分用に買った思い出が・・・
で、そんなヴァルスターでもよいんですが やっぱプレミアムなわけですから リュクスなアイテムを今回は選んでみました。
ALTACRUNA(アルタクルーナ)の襟付きのライダースライクなこちら。
敢えてデニムの出自であるワーク、またテイストの近いミリタリー的なイメージを表現する意味合いでこんなオリーブを選んでみました。
とは言ってもあくまでリュクスで上品なスタイルなのがポイントですし、まさにそこにヤコブコーエンのブランドコンセプトがマッチしているかと思います。
ハードで男っぽい印象になりすぎないようにメタルパーツも目立たないこんなアイテムにしてみました。
勿論、スタンダードなブラックのライダースも先述のヴァルスターもしっかりとマッチしてくれます。
そこはなんていったってデニムですから。そもそもこの手のものとの相性は良いですからね。
あと実はレザーパッチはオリーブのものにしています。
そんなこともあっての全体のカラーリング。
あくまでタフな印象になりすぎないように・・・ ブラックでシャープにまとめているのはそんな気遣いです。
PANTS:JACOB COHEN
JACKET:ALTACRUNA
KNIT:ZANONE
BAG:il micio
SHOES:F.LLI Giacometti
STYLE2
こちらはASPESI(アスペジ)のM65ブルゾンを用いたスタイリング。
これこそ正に!のミリタリーなわけですが、都会的に着るイメージでのネイビーセレクトです。
メンズの永生定番的な存在のM65ですので少しトレンドをエッセンス的に入れたくてインナーはボーダーのバスクシャツ。
イタリアのブランドに拘ってとか言いながらのいきなりのフランスものの登場ですがそこはご容赦ください。
肝心のデニムはこれぞヤコブ!な根強いファンの多いシリアルナンバー入りのリミテッドモデル。
細部へのコダワリがもっとも徹底されているのがこのリミテッドモデルですが、基本的にディテールの話ですのでデニム
自体は加工もシンプルなものが多くスマートな大人っぽさが損なわれていないのが流石です。
やっぱり、加工による色落ちの表現や意図的なダメージの見せ方などでわかり易く手が込んでいる事をアピールする事は
容易いんですが、そうする事による弊害というか ブランドのステータスを落としてしまう事はやっぱりNGですしね。
正直値段はこのご時世まさにリミテッドのプライシングにダイレクトに反映されて 、結構なところまで上昇が進んだ
印象を受けます。
それでもプレステージデニムというヤコブの存在を最もストレートに感じられる存在でもあるわけで いっそそこに価値を感じるという考え方もアリな気がします。
リミテッドを穿いているというその満足感自体に悦に浸るというそんな非常に自己愛たっぷりの楽しみ方も きっと他ブランドでは出来ないでしょうし。
M65について言い忘れておりました・・・
なぜM65なのか、基本的にやっぱりデニムとの相性がすこぶる良いアイテムだと感じています。
ラフなアイテムだからこそ サイジングやコーディネイトでエレガンスを忘れないようにするのが大切だと思っています。
その辺りのバランスというか なんというか、そういうディテールでお洒落って語られるものですし やっぱり侮れません。
ウエストのドローコードでシェイプにメリハリをつけるとか デニムのシルエットに必要以上のゆとりを作らないみたいな
事ですね。
で、男ってなぜかミリタリーものって好きじゃないですか!? 何故でしょう? 本能なんでしょうかね?
そういえば 幼稚園児の時の私の将来の夢は親曰く「戦車の運転手」だったそうです。
なぜかNETFLIXなんか見てても「 特殊部隊」はたまた「ネイビーシールズ」なんて文字を目にすると反応しちゃいます。
やっぱり本能なんでしょうかね・・・
PANTS:JACOB COHEN
JACKET:ASPESI
CUT AND SEWN:Le Minor
BAG:Cisei
SHOES:FERRANTE
STYLE3
お次はニット。
泣く子も黙るかどうかは知りませんが ZANONE(ザノーネ)のキョート。
今年マイナーチェンジしサイズバランスの見直しをした名品です。これまで弊社でも着丈などのサイジング変更を希望して
いたんですが、ようやく実現しました。
実現したのはファッショントレンドやその背景から手が加えられたからなのであって 決して弊社の影響力の賜物で実現した
わけではありません・・・ ここ大事です。
やっぱりこのアイテム 特別です。 アウターにもなるし 場合によってはミドラーにもなるし。
全然型崩れもしないし 毛玉も凄く出来にくいし。めちゃめちゃ使えるからヘヴィーローテしちゃいがちですが それでもタフ
でへこたれない・・・
へこたれないし買い直す必要もない、筈なのに 気に入りすぎてかなりの確率でカラーを買い足したりしちゃいがちだし。
襟元のシュッとするこの感じ、二の腕のシュッとする感じ。シュッとするのはイタリアの持ち味です!
なのでデニムもシュッとしなければいけません。 こここそ一番大事です。
キョートって賢そうに見えるしお上品そうで 女子ウケもまぁするでしょうし。 だからデニムはシュッとした方が良いに
きまってます。
ヤコブコーエンを代表するモデルがBARDとNICKです。
股上に気持ち深さがあり安定感のあるBARD。 ちょっと股上浅めでスッキリ腰回りが見えるNICK。
今回はBARDと組み合わせてみましたが シルエットはBARDもNICK同様シュッとしていますのでご心配なく。
ちゃんとイタリアの持ち味お楽しみいただけるかと思います。
PANTS:JACOB COHEN
KNIT:ZANONE
KNIT:FEDELI
SHOES:JACOB COHEN
STYLE4
ここ3年くらいでしょうか、ブラックデニムが調子良いのは。
ソリッドのブラックからシェード感のあるグレーまでインディゴのデニム同様に 色落ちの過程というかデニムの楽しみ方
の醍醐味がブラックでも楽しめるのもポイントなんでしょう。
ちょっとロックな感じというか、ワルっぽいところなんかもブラックの魅力です。
ヤコブコーエンでもそのヴァリエーションの豊富さはブランドの大きなセールスポイントなのでブラックからグレー系の
レンジのデニムは豊富です。
テーラリングデニムなんていうくらいなのですから ジャケットスタイルとしっくり馴染んでくれることこそがヤコブの
素晴らしさだと思いますし、ブラックデニム × ジャケットのスタイリングをご紹介します。
やっぱりジャケットと合わせるうえで印象を大きく左右するのはヒップラインだと思います。
股十字の位置が下がるので 股上はあまり深すぎない方がよいですし ヒップのカーブもしっかり形成されており 尻ぐりが
下がったような見え方になるものは宜しくありません。
ヒップの大きさ自体も弛みが出ずに先述のカーブのラインでしっかりとお尻を包むようなパターンができているかが大切
でして 要するにその辺りがトラウザーズのような印象に繋がります。
こういったところのまとめ上げ方がヤコブコーエンは非常に巧みです。
さらにはヒップから太ももに繋がるシルエットが食い込みすぎずになだらかに曲線を描くことも重要ですね。
シルエット自体は適度なテーパードシルエット。加工は控えめに ダメージは極力排除し みたいな点を踏まえていただく
とジャケットにもちゃんと美しくはまり 大人のエレガンスを湛えられるはずです。
また股ぐりからふくらはぎに至るまでの必要以上の無駄な「ゆとり」は禁物です。
今回はブラックという事で ちょっと シャープで艶やかなテイストになるようジャケットはTAGLIATORE(タリアトーレ)
のコーデュロイをチョイス。 ハイゲージニットもふくめて全体をトーナルなカラーリングにまとめています。
ビジネススタイルっぽいジャケットとは一線を画す スマートなラインが腕や腰に現れていますし なだらかなショルダー
周りなんかはTAGLIATOREの人気の秘密だと思います。
PANTS:JACOB COHEN
JACKET:TAGLIATORE
KNIT:FEDELI
SHOES:F.LLI Giacometti
STYLE5
こちらはちょっと趣向を変えてチノタイプです。
ヤコブコーエンでチノ?と思われるかもしれませんが ヤコブコーエンはデニムブランドではなく「ボトムスを中心とした
トータルウェア」のブランドですので当然コットンチノのタイプも豊富にご用意しております。
デニムのイメージが強いことは事実ですが、むしろ最近は日常とビジネスのファッションの垣根が非常に曖昧なものに
なりつつありますので ヤコブコーエンでも仕事に履いていけるボトムスという事でこういったチノのご用命が増えています。
流石にデニムは気が引けるけれどチノなら全然OKという事で 注目度が高まっているのがこのBOBBYというモデル。
ひとつ大事なポイントはこのBOBBY、 ノープリーツだという点。
世の中のボトムス事情的に非常にヴァリエーションが多様化しているのはご存知だと思います。
どこまで細くできるか!に賭けていたかのようなスリムフィット人気はイタリアブランドでは長らく続いたトレンド
ならぬ「常識」だったのは一昔前のことですが、 紆余曲折を経て 今やもはやなんでもありとすらいえるかもしれません。
相変わらずスリムなスタイルは人気ですし そこから派生したワイドテーパードへの流れももはや普通になりました。
さらにはワイドストレートへと至り フレアラインのものもよく見られます。
クラシックからモーダの世界まで含めればボトムスって今や「百花繚乱状態」なんですよね。
だからこそヤコブコーエンのノープリーツの選択が 「らしいな」って思います。
コレクションにはプリーツ入りもありはするものの あくまでリコメンドはシュッとしたもの。イタリアンスタイル。
シュッとしてナンボ!の精神が非常に潔くそこが尊いわけです。 恐らく・・・
日常とビジネスのファッションの垣根という点で見れば やはり重宝するアイテムの筆頭はニットジャケットです。
「何にでも合います」。これ「デニムと凄く合いますよ」と並んでの接客の際のNGワードなんですが、これこそ正に
そんな感じなんですよね。
LARDINI(ラルディーニ)は指名買いが未だに多く、ラペルの仕上がりなど ちゃんと「ジャケット」しているところが
他のブランドとの差別化に繋がっているような気がしますね。
寒暖の調節にも便利ですし 畳んでモバイル性にも優れるなど 屋外、オフィス、移動中と本当に助かるアイテムです。
ボトムスがコットンチノという事で 敢えてヤコブらしさも出したくてトップスはデニムウエスタンシャツにしてみました。
これくらいの力の抜けたスタイルがビジネスでも結構スタンダードになりつつある そんな時代です・・・
PANTS:JACOB COHEN
JACKET:LARDINI
SHIRT:JACOB COHEN
SHOES:F.LLI Giacometti
STYLE6
ラストはもっとも正統派のジャケットスタイル。 言わば チャンとしてるって奴ですね。
こちらもLARDINI(ラルディー二)のものですが ショルダーラインの構築性もチャンとジャケットな奴です。
ヤコブコーエンのボトムスっていう皆さんの持つイメージとはすぐにリンクしないものかもしれませんが こんなのも
チャンと「ヤコブ」なんですよね。
内側に隠されたメッセージの刺繍やヒップのレザーパッチを模したディテールなど 拘りは相変わらず「ヤコブ」ですし
美脚シルエットやジャケットとのマッチングなんかを見てもやっぱり「ヤコブ」してます。
コットンチノと言ってもガーメントウォッシュもあれば こんなコットン先染めのクリーンなものもあったり その辺り
はスタイリングの方向性で選ぶのがお約束です。
ジャケットのチャンとスタイルという事でより綺麗な質感の先染めのものをセレクトして合わせてみました。
この場合はクリースラインはアリが正解でしょう。
余談ですがデニムの場合も正直クリースラインについては好みでご自由にされてよろしいかと思います。
また裾のターンナップ、所謂折り返しも 薄くであればしてもしなくてもご自由にってところですね。
ジャケットスタイルいかがでしょうか。
カジュアルだけでなく幅広く使えることを知っていただきたくこのコンテンツをアップしましたので そう言った意味
ではこのスタイリングが一番のその意図を表してくれている気がします。 まぁヤコブコーエンのイメージとの乖離が
大きいというか・・・
PANTS:JACOB COHEN
JACKET:LARDINI
SHIRT:Finamore
SHOES:F.LLI Giacometti
まとめ
如何でしたでしょうか。 現在ファッショントレンドから見れば決してデニムが注目というような風向きではないと思います。
それってデニムが良くないってわけでは決してなく 凄く多様化している市場ということも影響しているでしょうし もしかすると
程なくしてその多様化したスタイルは 逆に集約されていき シンプルになっていくかもしれません。
また暑い夏はデニムにとって向かい風の時期ですし やや暑さが和らいだらデニム気分も高まるのが一般的です。
プレステージイタリアンデニムの祖としてヤコブコーエンは今後もそのヴァリエーションをデニムに捉われずに 「らしさ」を
追求していくと思います。
どんなブランドなのかあまり知らないという方も実は多いのでは?と思いこのコンテンツを作成しました。
次回は デザインについて?またはモデルについて? なのかわかりませんが ご紹介したいと思います。
一度実際に穿いてみる。ファッションって結局それが大事だったりしますので 是非ご体験いただきたいなと思っております。
ネットショップでご注文頂くもよし! ショップで穿いてみてシルエットを確かめてみるもよし!
是非是非 お待ちしております!