

こんにちは。 gujiの髙階です。
なんとか月2回更新をキープしながら、五回目の手帖。
gujiとringの垣根を超えて、個人的に特に良い物だなと感嘆してしまう物をピックアップしてご紹介していきます。
改めて、これを機に見直して頂けるきっかけになればと思っています。

今回はring展開のAPPLETREES(アップルツリーズ)。
たった一枚の白シャツから始まった、イタリア製のユニセックスなシャツブランドであり、本当に着る人のことを考えた素晴らしいシャツです。

「最高の素材を使って、最高の仕立てをした、毎日着れるシャツ」
これに全てが詰まっていますが、その理由をこれからお伝えしたいと思います。
初見は、そこまで大きな驚きはありませんでした。
一見は、何の変哲も無いミニマムなデザインも、一つの特徴です。
また、ドレスシャツの構造を持ちながら、デニムのように"育てていくシャツ"を定義に、新しい提案をしています。
その秘密から探って行きたいと思います。

僕の心を大きく揺さぶったのは、展示会場にサンプルとしてあった、100回以上洗いを掛けてあった物を見た時です。
上下の画像がそれです。
この色の落ち感や、洗いにより糸の縮みから生まれるパッカリング。
このエイジングこそ、このブランドの極みです。
なので、購入した時はスタートであって、それからの何年後の先が本番なんです。
こういうことを自信持って謳えるブランドは、実は数少ないと思います。
まるで、ジーンズを自分だけの1本へと育てる感覚に近いものがあります。

やはり、生地や糸は経年変化は避けられません。
ですが、購入される方はずっと着用したいからこそ、高いお金を払って購入するんだと思います。

であれば、どのような作り込みだったらずっと着用出来る商品になるのか。
それは、縫製だけでなく、使う糸や生地と普遍的なデザイン。
そして、男女関係無いノージェンダーなパターン。
これが全て丁寧行われ、しっかり作り込んだ物がそれになるわけです。
APPLETREESはまさにそれなんです。

まず生地は、世界三大コットンの一つであるEgyptian Cotton(エジプシャンコットン)より、最高級のGIZAコットン120双という高番手の糸を用い、ドレスシャツとしては珍しい超高密度で織り上げられたものを使用。
見た目にも高級感を感じるハリと艶があり、それでいてしなやかさがあり、この生地特有の滑りさえもあります。
高温多湿な日本の気候で汗をかいても肌離れが良く、とても気持ち良く着用できます。
またGIZAは、使い込むことで完成に近づいていく糸。
これに縫製も入ることで、独特な質感と凄く絶妙な歪みが合わさり、自分だけの物になっていきます。

縫い付ける糸はなんとシルク。
贅沢に太番手のシルク糸を用い、縫製箇所によってテンションを変えながら丁寧に縫い上げられています。
この細かい技術を要する縫製を担うは、イタリアのドレスシャツ工場の熟練の職人たち。
肌当たりや着心地、エイジングを楽しめる耐久性を極限まで考慮した結果がこのシルク糸縫製になったということです。

また、手間暇惜しまず釦もすべて手付けされており、オーストラリア産の貝釦を使用。
GIZAコットンにシルク糸の縫製は見た目の美しさはもちろん、両者の縮率の違いにより、洗い込むことで見事なパッカリングが生まれます。
と、全てが計算されているかのような、逆にこれが良い材料を使用して作った物の、最終的な出来上がりなのかもしれません。



Levi'sでのデザインチームにいたこともある2人のデザイナーが作る為、どこか雰囲気というか昔ながらの奥ゆかしさみたいのも感じます。
少し無骨でいて、ボリュームも感じるフォルム。
とは言え、着用するとドレスシャツにも見えて、カジュアルなオーバーなシャツにも見える。
また、男性が着用することでの洗練さ、女性が着用することでのフェミニンさも出る、何とも不思議でいて、唯一無二のシャツです。
スウェーデンのストックホルムにて設立され、北欧の無機質な、良い意味の質素でありながら、何にも邪魔されない美がそこにはあります。




この一度聞くと忘れ無いブランド名の由来も、
“アトリエの庭に林檎の木が沢山あり、サンプルや、着込んで洗い込んだシャツを林檎の木にかけて吊っていた”
からだそうです。
これをブランド名にする感性、物事を変な知識と経験から難しく考えたり、曲がった見方を一切していないからこその発想に感じますね。
そんなAPPLETREESでスタイリングを組んでみました。

やはり、デニムで合わせたくなります。
何の変哲も無いナチュラルなデニムのセットアップに差し込むことで、そのスタイリングが一気に色気、華、面白さ、こなれ感など、様々な表面を待ち合わせたスタイルになります。
また、デニムオンデニムの合わせも自然に見えてきます。
これが、洗い込んだ状態のシャツならば、そこに雰囲気が加わり、最高の着こなしとなっていきます。

GジャンとデニムパンツはScye。
シューズは、ALESSANDRO GASPARINIのスリッポン。
インナーのTシャツはSUNSPEL。
余計なレイヤードはせずに、兎に角"そのまま着用する"をしたスタイル。
今更で手前味噌ですが、gujiにも負けず、ringの展開ブランドにも良い物が多いなと、、
このシャツを他のブランドの商品と掛け合わせるだけで、全てのアイテムが洗練され、大人だからこそ成立するミニマルなスタイルになります。


シャツをトップスにしても、これだけこなれたスタイルになるのは、このシャツの存在感が大きいからに他なりません。
後ろ姿さえも、ナチュラルなエレガントさが出ていて、、
まあ、もう着たら分かります、、笑
仮に女性がこのスタイルで着用しても成立します。
カフスには3つボタンが配置されており、袖をまくった際にフェミニンな印象を演出でき、ゆったりとしたシルエットの中でカフスを絞ることで、袖にたまる余裕が柔らかさを演出し、男性の着用とはまた違った独特なシルエットを感じます。
代理店の方も是非、女性にも着用してもらいたいと仰っていました。

年代問わず、男女問わず、体型問わず、
“誰が着ても一枚で様になるシャツ”
本当に価値ある物なんだと改めて感じます。
APPLETREESよりもそれが出来ているシャツブランドは、そう見つからないはずです。